今この記事をお読み頂いているのは、起業するにあたって事業拠点にバーチャルオフィスを検討されている方だと思われます。
当社は名古屋市内で、2000年からレンタルオフィスを運営しているアイ・フジーと申します。
当社のレンタルオフィスにご入居頂いているテナント様の中には、以前他社様のバーチャルオフィスを利用されていた方もいらっしゃいます。
そして、テナント様との日々の会話を通して、バーチャルオフィスを実際に利用していた方たちから、良かった事や後悔した事を耳にする場面も多いのです。
現在拠点を探されている方にとって、非常に参考になるリアルな情報ではないかと思い、今回はバーチャルオフィスのメリットとデメリットを記事にしてみました。
バーチャルオフィスとは?
既にご存知の方も多いかと思われますが、まずはバーチャルオフィスとは一体どんなものなのかを軽く説明致します。
バーチャルオフィスというのは、実際にオフィス空間を借りるものではございません。
登記時に必要な会社の住所を借りたり、郵便物の受け取りや電話応対などのサービスのみを受けるシステムです。
ただ、実際にバーチャルオフィスを訪ねてみると、漫画喫茶ほどのブースが設けられており、時間毎の予約を取って少しだけ作業スペースとして提供してくれるところもございます。
出張用に遠方でバーチャルオフィスを借りられている方などは、数時間だけネット環境のある場所で作業したいときなどには便利なサービスですね。
また、多くの場合が一等地に所在しており、名古屋市内を例にあげても、新しくできた名駅のビルや栄の中心街などで住所を借りる事ができます。
費用も、住所のみであれば一ヶ月の賃料が1万円以下のオフィスもございますので、特に起業したばかりの方の利用が目立ちます。
ただ、料金設定に関してはバラツキがあり、受付等のサービスは別料金が追加でかかる場合もございます。
そうなると、バーチャルオフィスなどを利用せず、そもそも自宅を会社住所として利用する事で更に費用を抑える事ができるのではないかと思いがちです。
しかし、自宅での起業にはそれなりのデメリットがございます。
まずは自宅で起業される際の、具体的なデメリットをお話していきますね。
自宅で起業のデメリット
ご自宅の住所を利用する場合、以下の事が考えられます。
- 賃貸マンションだと、自宅の住所を事業利用できない場合がある
- 郵便受けに社名を記載する事ができない
- HPなどに掲載する事で、営業マンなどが訪ねてきてしまう事がある
そもそも、賃貸マンションだと、大家さんの意向で事業用としての利用を認めない場合がございます。
そうなれば、当然郵便ポストに企業名を貼り出す事もできません。
また、HPや名刺に会社の住所として記載してしまう事で、営業マンの方が直接ご自宅に訪問する事もあります。
また、お客様が来社された際の印象が、会社として必ずしも良いものとは限らないのです。
こういったデメリットを考えた時、代わりになるのがバーチャルオフィス。
では、バーチャルオフィスを実際に利用してみた方の感想から、メリットとデメリットの部分に分けて紹介していきたいと思います。
バーチャルオフィスのメリットとデメリット
実際に使ってみて、良かったと感じる面もあれば、後悔したという感想もございます。
まずはメリットの部分を挙げていきましょう。
メリットは?「こんな所が良かった!」
- とにかくコストを抑えられた
- 自宅の住所を知られずに済んだので、持ち家でも安心して事業を営める
- 一等地の住所で登記登録が可能で信用につながる
- 受付や秘書サービスが受けられる事で気軽に出かけられる
やはり1番多く聞かれた声は、とにかく住所を借りる目的だけであれば費用が極端に削減できたというものでした。
特に、ご自宅が賃貸でなく持ち家の方ですと、今後引っ越す事はあまり考えられないので、プライバシーの面でも自宅の住所を公開しなくてよかったと感じられている方は多いです。
今はGoogle Mapなどで簡単に写真もでてしまいますからね。
コストがそこまで抑えられるにも関わらず、一等地の住所に登記ができるので、名刺交換の際には印象が非常に良かったそうです。
また、お一人でお仕事をされていると、打ち合わせ等で移動している時間も長くなる為、なかなか宅配の受取ができない事も多いですよね。
急な来客の応対なども含め、全て受付に任せられる気軽さも多く声が上がりました。
以上がバーチャルオフィスのメリットです。
では次に、デメリットの部分を挙げていきます。
デメリットは?「借りた後で気づいて後悔!」
まずはざっと挙げていきますね。
- 社会保険や雇用保険申請の際、確認事項が増えた
- 事業の許認可を取得できなかった
- 法人銀行口座の開設がなかなかできなかった
- 融資を受けられなかった
- 住所が重複する為、ネット上に別の会社のHPが出てきてしまう
デメリットに関しては非常に重要な為、詳しく説明していきます。
1. 雇用保険や社会保険の申請の際、確認事項が増えた
社会保険を申請する際には、資金台帳など必要書類の保管義務があるのですが、その保管場所をしっかり確保できる状態なのかを確認されるようです。
当社のテナント様で、以前バーチャルオフィスを利用されていた方の場合ですと、書類の保管先として自宅を申請した所、認められたそうです。
2.事業の許認可を取得できなかった
当社のご入居者様には人材派遣業の方も多くいらっしゃるのですが、そういった事業内容だと、バーチャルオフィスでは認可がおりないようです。
一般派遣業、有料職業紹介などで起業を考えて先にバーチャルで契約してしまったものの、許認可がおりなかった為に再度拠点探しをし直す事になってしまい非常に大変だったそうです。
ご自身の事業内容が、バーチャルオフィスで認可されるものかどうかは事前にしっかり確認しておく事をおすすめします。
3.法人銀行口座の開設がなかなかできなかった
バーチャルオフィスで登記をしていると、法人としての口座開設がかなり困難になります。
これは、振り込め詐欺や出会い系サイト詐欺などの事件で摘発された会社の多くがバーチャルオフィスを拠点として利用していた為です。
その為警視庁が、バーチャルオフィスの住所で登記登録を行った場合は法人口座を開設しないように通達を出さざるを得なくなってしまったという経緯がございます。
4.融資を受けるのが困難
法人口座と同じく、事業実態が見えない事から、創業融資を受けられなかった企業様もいらっしゃいます。
完全に受けられないわけではありませんが、飲食店などの店舗を構えて明確に事業を営む方と比較した時には、どうしても審査が厳しくなってしまうのです。
創業時に事業資金を借りられる予定であれば、バーチャルオフィスはあまりおすすめできません。
5.住所が重複する為、ネット上に別の会社のHPが出てきてしまう
これはレンタルオフィスやコワーキングスペースを借りられる場合にも言えますが、一つの住所で多くの会社が住所登記をおこなっている為、HP上で住所を検索する事があった場合に他の会社の住所が先に出てきてしまう事があるのです。
一つのビルに会社がいくつも入っているのは決して珍しい事ではありませんが、バーチャルの場合は先程の話にもあったとおり、詐欺に利用される事もあります。
非常に社会的信頼の低い会社と同じ空間で事業を営んでいるような印象を持たれてしまう事があるわけですね。
以上が実際に利用された方たちが挙げられるデメリットの部分です。
特に融資を受けるご予定の方や、人材派遣業などの業種の方は、事前にしっかり確認してからご契約される事をおすすめします。
また、電話応対や秘書代行、受付等のオプションサービスを付けられると、かえって金額が高くなってしまう事もあります。
その場合はレンタルオフィスでもさほど変わらない賃料になる事もございますので、コスト削減が第一条件では無い方は、そういった選択肢を検討されるのも良いかもしれません。
レンタルオフィスであればバーチャルオフィスのデメリットとして挙げた部分は全てクリアできます。
また、キャンペーン等を行っている時期によっては非常に安く借りられる事もございます。
レンタルオフィスにご興味がございましたら、弊社まで是非お気軽にお問い合わせ下さいませ。
この記事が参考になれば幸いです。